自堕落なるままに日暮らし

全ての感想は備忘録

チョコレイト旅団『アンタイトルアンハッピーラブ』::: そんな漫画みたいなことあったら困るでしょ (感想・後編)

チョコレイト旅団 第11回公演『アンタイトルアンハッピーラブ』

感想の後編はシングルキャストの皆様とラストシーンについて。



※公演詳細やダブルキャストの皆様についての感想は下記から!

チョコレイト旅団『アンタイトルアンハッピーラブ』::: あなたが僕の初恋ですか (感想・前編) - 自堕落なるままに日暮らし

《シングルキャスト》

○池澤汐音さん:松葉なると、あかりちゃん、スカーレットバルキリー、生徒、選手
すっごい!役の切り替えが素晴らしかったな~!漫画と現実がかわるがわる変化するところ、お声のトーンも表情もまるで違った。
 彼女のポニーテールが三つ編みっぽい時と、らんま二分の一風お団子が連なってるみたいにしてる時とあって"ラーメン屋のあの子"感がどっちも可愛かったな〜!
・第1話のあかりちゃんが「こらー!やめなさーい!」って拳掲げて入ってくる時のポーズがめちゃめちゃ可愛くて好きだし、第3話ではモブ生徒の役だったけど、ブス大佐から「私より下の中佐がやってっから!」と言われて出てきた時の中佐の敬礼!中日から両手で敬礼したあと正面の客席にも見せてくれるようになってかわいいー!!!ってなった。
・なるとちゃん、お父さんのモノマネして「鷲尾さん、最近来ねぇなぁ…って!」とミロ先生と話すところ好き。その「って!」と振り返った時にはにかんだお顔が赤ちゃんみたいな幼さがあってほっぺた撫で回したかったし、あー本当にお父さん好きなのね~~~なんてにこにこしちゃった。千秋楽で手振りもついたから何かと思ったら「モヤシ盛ってました」とか言うからウケたw
・過去を話したお父さんに向かって「ねぇ何で?何で私には教えてくれなかったの?!」「謝ったってもう遅いよ!!!」と訴えるところが本当に悲痛で。第2話の漫画の世界とも交錯しながら進むので展開は早いのに(というか終始サビみたいな)、それを感じさせない。「お母さんはもうかえってこないよ…!」と涙をぼろぼろ流して言う彼女を見て、なるとちゃんのこれまで抱えてきた思いが全部溢れ出したみたいな泣き方に毎回ぎゅっと胸を締め付けられました。
・第2話、漫画の世界でのスカーレットバルキリーと現実のなるとちゃんとの役の切り替えは、赤いジャケットを着るか剣を握るかどうかではっきりしていたものが、ラストにかけて"父への思い"に焦点が当たることで徐々に2人の姿が重なって見えたのは本当にすごいと思った。「お父さん、大好き」と抱きつくところ、彼女のまだあどけないお声にやっぱり泣いた。
・第4話の導入部、傷心しきりのミロ先生を心配して「お父さん、先生のラーメンに煮たまごおまけしてあげて」って言うのめちゃかわだった!いいこ!その後のラーメン屋のお仕事が見えるマイムも素晴らしい!棚からラーメンどんぶり出したり、下のほうから取り出した袋の口をちゃんと縛ったりしてるの見たときに、マジこの子北島マヤなのでは???と思ってしまいました(『ガラスの仮面』より)。


個人的にかなり嬉しい客演。4年前『傷つくな、鮮やかに浮遊せよ』以来にまた、チョコレイト旅団でお目にかかれたこと。あの当時、まだ高校生?!と驚いたことや握手してもらった手がふわふわだぁ…!と思ったことを覚えてます。ママンも観終わるなり「ねぇ!"春はてりたま"の子出てたね!」と嬉しそうに話してくれました。親子共々お話できて嬉しかったですありがとうございました。




富山智帆さん:高野花梨、メザシ、ドンキーズの選手
めちゃめちゃ輝いてた。彼女から発せられる言葉たちは全部きらきらして見えた。明るくてのびやかで猪突猛進でとてもかわいらしい。
・第1話でのメザシくんが、顕現前の道理ゑ門の巻物から「まっこと情けないっ!」という声だけ聞こえてきた時に「誰?!」「どこだー?!」とまっすぐ腕を伸ばして威嚇するあのポーズが大変好き。ぜったい漫画で描くなら、短い腕を伸ばし切ったメザシくんのそういうコマあったなーって、めくったページが容易に想像できる。
・第4話ではドンキーズの選手として「優勝してやろうぜ!」とか言うんだけど、どの台詞も"男の子"って感じがして…アニメで少年役をやってる時の女性の声優さんみたいな、強さとまっすぐさのあるお声で、これが違うベクトルの青春スポーツ漫画だったらもう君こそが主人公だよ…って思いました(?)。
・第3話のミュージカルのパート、それまでおとなしく作業してたのに2回目のサビあたりから立ち上がって一緒に歌い出すのやっぱり最高だったね!指揮までとってたし!しかも最後の盛り上がりの時は演奏の佐々木さんと一緒にフィニッシュ決めてた(手で空中を掴んで音を止める合図してた)の面白かったし、そこで思わず拍手してしまってたw
・家出から帰ってきたものの何も浮かばず頭を抱えるミロ先生に、高野ちゃんが「ねぇ先生」と呼びかけるお声がとてもとても優しくて大好き、泣いた。
「先生は売れたくて描いてるんですか?だったらそんなに悩みますか?」とお顔を覗き込んだり、脇谷さんたちに現実的な問題を口にされても「それでもいいじゃないですか!」と語気を強めて「私は、先生の本当に描きたいものが読みたいです」と言ってくれたの、言われたのは自分じゃないのに、じんわりと胸に広がってく嬉しさ……というか心強いなって気持ち。これが勇気というものだろうか。何だろう、高野ちゃんにはめちゃめちゃ感情移入してしまってわんさか泣いたんだよね。。。どの言葉にもしっかりと彼女の熱が乗っていて素晴らしかったし、小柄な方だけどそう言う彼女の背中は頼もしかったな。
・最後にミロ先生が今から全部描きなおしたいって言った場面で「それが先生が本当に描きたいものなんですよね!」と言う彼女の嬉しそうな表情がもう堪らなかった!大きく頷き返した先生を見て、ああ、あの時の彼女の言葉はちゃんと届いてたんだって思って涙止まらなかったな。
・〆切まであと2日もないのにと尻ごみする先輩二人に対し、自分のこと好きってわかってる津ノ森くんの手をとって(つまりおねだり!)一気に味方にしてしまったの最高か〜?わかってるー!
・最後の場面、「先生の漫画のタイトルは『アンタイトルアンハッピーラブ』と名付けられた」とナレーションしてくれる彼女の声は、心の真ん中にすぽっと収まるような聞きやすさ。漫画が出来上がって「できたーーー!!!」とみんなが叫んだ場面で、三雲さんとぎゅーっと抱擁してるのめちゃめちゃ感動したし、単純に可愛らしかった。いやほんと大好き。




○古堂たやさん:柳田太陽、盗賊、弥勒、古田
漢字一文字で表すなら『陽』。どんな役でもすんごい楽しそうに体全部使って演じられてて(特に足)、その元気が客席に伝染してくる感じの人!
・柳田さんが水瀬先生にプロポーズした時に自分のこれまでのことをばーっと話すんだけど、それまでの終始朗らかなスマイルから一転「あなたになら、僕のことわかってもらえる、そう思ったんです…!」の泣きそうなお声が切なくて良かった…!「"アイツは特別なんだー"って僕を特別扱いするようになってしまった…」の時に、真剣に悩んでるのはわかるんだけど、なんか地面を蹴る仕草にクセがあって毎回笑っちゃってゴメンね…笑
・第3話のミュージカルシーンのダンスのキレ!「この想いは止められない誰にも!」ってワンフレーズ歌うだけなのに、1文字ごとに1ポーズ挟んでくるレベルできめっきめだから笑い止まらなかった…あれでちゃんと歌もうまいからずるいんだよな〜!
・第3話で駆け落ちのために樹里ちゃんを待ってる時の駄菓子屋のおっちゃんとの会話が穏やかで好き。「樹里のこと、大切にしたいんだ」と微笑んだ時の凪いだ海みたいなお声も、「ずうっと待つの、しんどいよ…」と切符を返した時の泣きそうに歪んだお顔も、幼くていじらしくて愛おしかった…えーん、第3話の続き読みたいよ…
・第4話の古田選手がめちゃめちゃチャラい!弥勒の奥手な感じからはまったく想像もできなくて振り幅にびびった〜!北見ちゃんを「エスニック料理とかどう?!」とご飯に誘うシーン。あまりに北見ちゃんがつれないためか「つかエスニック料理って何?寿司?寿司!?」なんてアドリブの挟みこみが増えてきてて楽しかったw




○下田修平さん:前野集、遊び人、真喜雄、ドンキーズの選手
今まで何度もお芝居見てるけど今回が一番好きだわ!みんなまったく違うキャラなのに、どの役もハマってた!
・本役の前野さんのめちゃめちゃ軽いノリ最高。「あ、そっちね、わかるわかる~」って電話の時のチャラさとか何で楽しそうなの?って思わず笑っちゃう。ミロ先生との電話でも「うっかりうっかり!」なんて足をルンってあげて見せるの先生から「何かわいこぶってるんですか」ってキレられてたけどちゃんと可愛かったから大丈夫!
・第1話『道理ゑ門』であかりちゃんが「デキマクリさんみたいな!」と話題に出した時に、すっくと立ちあがって手振っただけなのに、なんであんな面白いの?出番あれだけなのに吹き出してしまった…”できまくり”と言われても説得力があるイケメンだからできる小ボケ、ずるいな~。
・第2話の遊び人…彼はいったい何だったんだろうか…笑 黄色いジャケットも赤いサルエルもちゃーんと似合ってて全然ださくならないの本当スタイルおばけ!「ハハッ✨」て笑いながらおててを横に出して細かくぶんぶんぶん…と振るポーズ(某夢の国ネズミ風?)可愛かったな。存在そのものがボケであるはずなのに、占いオバが帝王の力について説明した時の「ざっくり言うと、とてつもない!」に対して唯一「まったく内容のないお告げ!」とちゃんとツッコミ入れててめちゃめちゃ笑ってしまった。はじけてていいなぁ。
・第3話の真喜雄くんは精神的イケメンで非常に好き。漫画で読んでたら絶対一番好きになるキャラクター!だって初登場が「やぁ優等生、おはよう」だぜ?弥勒くんを送り出すために罰則を一人でかぶるって言い出した彼の決め台詞が「行け親友、俺の恰好がつかないだろ」だぜ??親友の背中を見やってフッと笑って「まったく、世話の焼けるやつだよ」だぜ???王道でくさい台詞なのに最大級にかっこいいの本当最高だな!!!(大声)
・MVPは最後に退院して挨拶にきた前野さん。
「人間明日も生きてるかなんてわからないじゃないですか」「だったら好きなことやって、それでしんどいほうがいいなって僕思ったんです」
どっちもすごく軽めの言い回しにしてるのが大変良かった。終盤のミロ先生を動かす最後の一押しになる、つまり核心にあたる台詞なんだけど、それを彼の静かで穏やかな声で聞くと"何にも難しいことじゃないよ"って、肩の力を抜けさせてくれるようで、毎回ほっとして泣いちゃってたな。
・直後に「それでハワイに?」「英語話せましたっけ?」と突っ込まれ「フィーリングでどうにか!」と答えた彼が、「まいねーむいずナンシー?」なんて冗談で先のいいセリフを全部台無しにしちゃうのが大好き。つかミロ先生が、前野さんが訪問してきたことに気が付くまでちょっと間があるからって、退職したことに驚く津ノ森くんと「え?」「え?」「え?」って言い合いながら互いに顔芸で遊んでるのちゃんと見てたから!ピースとかしてるんじゃないよまったく!可愛かったなオイ!笑




○桑原聡さん:津ノ森正太郎、道理ゑ門、僧侶、ドンキーズの選手
本っ当にいいキャラしてる!どんな役も手堅くおさえてくるな〜!超がつく安定感。
・第1話、道理ゑ門として初登場するところ、図工室の椅子に座った姿勢から舞台に飛び乗って顔をゆっくり上げる、っていう身体表現だけで、今まさにメザシくんの手に取った巻物からもくもくっと出てきました!ってその時巻き起こった煙さえ見えてきそうな感じが非常に良かった。しかもそのキリリッと決めた怒ってるようなお顔が、何だかとても元ネタである"あの漫画"のクラシカルな作画っぽく見えたりもして。何回目かの観劇の時は、これが漫画だったらどんなコマ割りでどんな吹き出しがどこにあって…と脳内変換しながら見たりしちゃった。「そんな上等な着物を着てい…何だこの面妖な風景は?!」のところとかも、びっくりしたおめめが絶対✖☆みたいになってたはず!笑
・「拙者は当の昔に死んだ。メザシ殿の力で現代に甦れはしたが、それもひとときの夢幻」の台詞で「ゆめ、まぼろし」と宙に何かを放つような手振りがとても儚くて好きだった。
・「自信を…いや誇りを持っていい」と俯きがちに微笑んだのがとても優しくて泣いた。メザシくんから「ずっとここにいていいんだよ!!」と言われて面食らった時の「メザシ殿…本当に強くなったでござるな」、本当にうれしかったんだろうなぁ。道理ゑ門は強くビシッと、低めのお声を出してたけど最後の「武士としての矜持でござる」と言った時のお声はやわらかくてあったかくて本当に好き。
・第2話『世紀末だって恋がしたい!』の中で僧侶としての初登場で「本当に倒せるとお思いか」と言った時のお声が、直前の道理ゑ門とまるで正反対!そのギャップだけでしばらく笑えた。
・津ノ森くん、アシスタントで入ってきた高野ちゃん(富山智帆さん)に一目惚れしちゃってバリイイイーーン!と雷の効果音入るところの表情!笑 彼女に何言われてもまるでいちいち殴られたみたいにすごい顔して悶え苦しんでるから本当お腹痛かった~😂ミロ先生が高野さんの教育係に脇谷さんを指名しようとするのを阻止すべく二人の間に割って入るわ、「脇谷さんいろいろ教えてあげて」という台詞を言わせないほど圧かけて徐々にミロ先生のお顔に自分の顔寄せてくわ、マジでその間が絶妙、じわじわきたww 先生も次の台詞にいけずに「ちょっと待ってください、目に入った…」とか笑っちゃってて、あれはもうずるいわ~!
・津ノ森くん、ちょっとニヒルというか、一言余計というか。「仕事は最高に遅れてますけどねw」「やっぱりクビかな」とか彼自身はちょけて場を和ませようと思ってそうなんだけど、どうも裏目に出ちゃってる(下手すると嫌われかねない)発言ばかりで、でもその残念な感じが好きだったな。退院してきた前野さんの相変わらずなテキトーっぷりにツッコミ入れてくそのテンポ感も抜群。先述しましたけど前野さんの「英語はフィーリングで何とかね!まいねーむいずナンシー?」に対しての返しで「ナンシーではない」とか「いや集(あつむ)だなぁ?」とか「うん、ちゃんと勉強しよう?」とか全部好きなんだけど、千秋楽に諦めたのか「もうそのまま行け!笑」って投げてたの良かった(笑)


ねーぇ!?書きながら気が付いちゃったんだけど、もしかして下田くんと桑原くんがちゃんと、一対一で言葉を交わしてる舞台って初めて見たかもしれない…
脇谷さん(野町祐太さん)含めて、ミロ先生の一番近いポジションに劇団員が配役されてるのも胸熱なんですが……



○野町祐太くん:脇谷祐、ナレーション、駄菓子屋のおっちゃん、ドンキーズの選手
やっぱ野町くんいいね、としみじみ。黙ればきっちり正統派、喋り出したらツッコミで常識人にも、メーター振り切るボケにも転じて。…ご自分の存在感の色を変えるつまみでもついてるの?
・先に第3話の話をするけど、駄菓子屋のおっちゃんが最強。もはやあれは伝説。ミュージカルで突然「わしに任しとき!」って現れた時の高い声から「せやで、駄菓子屋のおっちゃんやで~」と歌い出した時にはざらっと低音ボイスになるからまずその落差が面白い。演出の浮谷さんから「尾崎豊っぽく歌って」というオーダーがあった、というトークショーの話聞いてから余計に可笑しくなっちゃった。あの歌何回も調が変わるからめちゃめちゃ難しそうなのに一回も音外してなくてすごい人や…って思った。
・おっちゃんが駆け落ちを提案するくだりで、樹里ちゃんは「列車の切符なんて買ったら見つかってしまうわ」と心配するから、すかさずおっちゃんが「大丈夫やー!」と制止するんだけど、そのポーズがロックミュージシャンみたいになってることに千秋楽で気が付いて吹きだしてしまった。「列車の切符はおっちゃんが用意したる。そしたら足は、つかへん!」と言いながらその場でちっちゃくジャンプしてたのお茶目で可愛かった。
・「二人の恋はかなう必ず。おっちゃんが叶えたる~!」と歌いながら去るところも、ミュージカルのフィナーレを壁に手をついて一仕事終えた~みたいな表情で眺めてたのも最っっっ高だった。
弥勒が立ち去ってしまったあとの「待たせとった側のわいには何も言われへんわ…」と悔しそうに切符をやぶくところ悲しかったねぇ…;;;「罪滅ぼしでもある」って発言や「おっちゃんが全部悪いんや!堪忍してやぁ…!」という最後の慟哭もあわせて、おっちゃんが、樹里ちゃんの…?ってにおわせたまま終わるから続き読みたくてうずうずしちゃう…え、『彼氏彼女の諸事情』って連載してないんですか?読み切りでもいいんですけど、え、キャラバンの何月号ですか?
・自分がサイドの席に座れたときに、セットの図工室の椅子で控えてる彼が、めちゃめちゃ嬉しそうな顔して舞台上のキャストの芝居を普通に観劇してたの見えちゃって微笑ましかったな。理事長から圧をかけられた時は縮こまってたじたじになってたけどw
・第2話のナレーションの鬱陶しさったら!笑 美雲さんが「ナレーション気になるなぁ💢」って怒ってたのもわかるわかる〜ってなった。落ち着きのある脇谷さんとしてはけた直後にダダダダーーっ!と走って出てきた時の「時は200X年!!!」ってテンションの差にビビる。
・やっと本役・脇谷さんの話。ラーメン屋で「描きたいものが明確にあるときの先生はとても情熱的なのよ」って高野ちゃんに話すところの"昔はこうだったんだけど"って空気を滲ませるのしみじみとしてて良かった。ぼんやりしがちな先生に代わって「チーフアシの脇谷です」と三雲さんにちゃんと挨拶するわ、周りのアシさんも紹介してあげるわ。漫画を描く以外のことは彼がやってんじゃないかなって感じの、これまでの先生との歩みを感じられるような慣れた様子もいいし、彼がずっとアシとして先生のもとにいるのはやっぱりそのミロ先生のその"情熱"の部分に惹かれているのかな…って窺える口ぶりがとてもとても好き。愛すべき常識人。
・終盤「〆切守って売れそうな作品描かなきゃ」と言ってまた頭抱える先生を見た脇谷さんが「先生、楽しいのかな」「好きな仕事を自分でがんじがらめにして」「あんなに苦しそうに漫画描いてる先生初めて見たよ」と津ノ森くんや高野さんに向かってぽつりとつぶやく場面がとても苦しい。あの席でずっと先生の漫画を描く姿を見てきた人の重み。
・第5話、先生が描き直したいって言った漫画が「できたーーー!!!」って叫ぶ最後の場面で、ナレーションに入る高野さん以外はみんなスローモーションになるんだけど、そこで脇谷さんと津ノ森くんがグータッチしてたの熱かった…!




○佐々木聖也さん:演奏、アシスタントの佐々木くん
ピアノを生で演奏。本っっっっ…当にこの人はすごいな。天才。そんな二文字で済ませるのは失礼かもしれないけど、でも言いたい、天才。全30曲だってよ!
 音楽ってどんな演劇でもドラマでも映画でも、人の心を動かす"効果"のために流れるものだと思ってたんだけど、彼のピアノはそういうツールじゃなくて、人の心の動きにそっと"寄り添う"生きた音を奏でてる。演者の芝居と共鳴し、客席の自分の気持ちもそっと押し上げてくれる。来てくれた友人(彼女も普段ピアノ弾いてる)が「今笑っていいんだ、ここは泣いていいんだ、って感情をピアノに後押しされた感じ」というようなことを言っていて、すごく納得。
 彼自身の存在感はちゃんとあるのに、いい意味でまったく"気にならない"。ピアノもいつ鳴り出したのか最初のうちは全然分からなかった。と本人に言ったら「弾き始めるギリギリまで構えないようにしてます」と返してくださって、さすがかよ!!!ハシビロコウっぽいって言ってごめんなさい(?)!!!

 ピアノがあまりに自然だからどんなメロディーだったかと思い返すのは至難の業…だから特に印象深かった瞬間をいくつか。
・ミロ先生が「漫画家引退しようと思います」って家出から戻ってくる場面。彼の重たい足取りを表現してるみたいな暗い入り方にぎゅっと胸が締め付けられてこの時点で泣いた日も少なくない。「どれだけエネルギーが要るかあなたにわかりますか?!」「あなたは描かなければいけないんです待ってる読者のために!」というミロ先生と三雲さんの心のぶつかり合いで高まってく空気も音で表現されてて、いや本当にあの場面すてき。
・第3話のミュージカルパート、弥勒(古堂たやさん)が「この想いは止められない誰にも!」とワンフレーズ歌うだけなのに暴れてるみたいに激しくダンス(笑)、立ち位置は聖也さんの背中側なんだけど、どうやらそのシルエットが暴れてるのが目に入ってるみたいで普通に笑っちゃってて可愛かったな〜
・編集長が「昔は俺も鬼編集って呼ばれてた」と過去の失敗を話す場面の音楽、不協和音が多くあって、うまく気持ちが伝わらずに噛み合わないでいるような感じがとても良かった。聖也さんの目の前の席に座れた時に、彼自身がその音を眉根を寄せて苦しそうに弾いてるの見ちゃって、そうだよねこの方もパフォーマンスで演じてる役者さんなんだ…!って改めて思った。
・第5話、メザシくんからミロ先生へ、星座早見盤を渡す場面。鍵盤の一番右側あたりの高い音を細かく使った音が、星がきらめくような表現に聞こえて良かったし、先生が半分の早見盤を空に掲げるのに合わせて徐々に盛り上がるような音にも、星が昇ってくるような高揚感とか会場の壁が取っ払われて星空に吸い込まれてくような没入感(先生の表情にぐっと集中させる)があってとても好きだった。
・あと「こっちはアシスタントの佐々木くん」として紹介された時に、紙にちゃんとペン走らせたりもしてて芸が細かいな〜と思った。みんな夜通し先生を待ってるって場面では彼専用のクッションを抱っこして居眠りしてたの、めちゃめちゃ可愛かったよね…

・一番好きなのは、ミロ先生が再起をかけて漫画を描き直すクライマックスとも呼べるあの場面。三雲さんが入ってきたあたりからオープニングと同じメロディーきた時に「最終回だ…」って思って泣いたし、最後のほうのフレーズは片手で弾きながら、左手で出来上がった原稿を1枚、先生に手渡したの見て、”ああこれ全部みんなで仕上げた作品なんだな”って、すごく、すごく感動した。

 トークショーの時に浮谷さんから「自分で弾いてて好きな曲とかある?」って聞かれたときに「僕もう感覚で弾いてるから(今日のが)どんなだったか覚えてないんですけど…」って言っててざわついた…天才だよマジで!
あと確か土曜の回だったか彼と直にお話できた際、メザシくんから先生が星座早見盤受け取った時の音楽の印象について話を振ると「僕も今日の最後の泰史さんとのやり取り気に入ってます」と返してくださって。その"やり取り"という言い方に大変胸打たれたのです。

はじめましては『ラストマンスタンディングマッチ』で生演奏されてた時だから4年半前か…時の流れの速さよ!いつかちゃんとあなたの演奏会に行きたいです。





久保亜沙香さん:三雲星さん
大好き。1年前に『Letter later』で拝見して以来だったんだけど、こんなに好きになると思ってなかった。日に日に彼女の表情に魅せられていった。大きな目の奥に宿った熱、笑顔の中に込められた喜怒哀楽がとても豊かで素晴らしかった。 好きな場面?全部です。

・先生とのファーストシーンで「先生、私と一緒にラブストーリーを描いてみませんか」って入ってくる彼女が本当に綺麗だったーーー!!!(叫び) 容姿はもちろんなんだけどそこじゃなくて、何だかきらきら眩しくてうわぁ…って絶句して目を奪われる感じがした。
・矢継ぎ早に話を進める彼女だけどすごい穏やかな口ぶりでいたのに、先生の言い訳に突然「ダセぇこと言ってんじゃねーぞ!」とダンッとヒールを打ち鳴らして、声色がらりと変えて怒り出すから心臓はねた…日増しに先生に説教する彼女のボルテージもぐんぐん高まってて最後のほうはガチの怒号だったよね…笑
・第3話あたりの現実の世界線で、美雲さんの「家出したってどういうことですかーーー!」と叫んだ場面。本筋はそこで"柳田さんプロポーズ事件"に切り替わるんだけど、その時に真ん中の作業机のところで、ミロ先生の家出を隠してたアシスタント組を問いただしてるのが!素振りでわかる!ああいうの影芝居っていうんですか?まぁ〜〜〜楽しいね!焦った風に舞台から机に向かう時の飛び降り方もコミカルで漫画っぽくて、ぴょんって効果音描き加えたいぐらい好きだった!
・第4話の終結あたり、バイク便のお兄さんから受け取った先生の原稿が白紙であるとわかった時の、「編集長、鷲尾先生から預かった原稿を失くしてしまいました」「申し訳ありません、私の責任です」の言い方がめちゃめちゃに切なくて。編集長に「三雲、ミロ先生の担当から外れろ」って言われて、心配そうにしてる織姫ちゃんをそっと見て立ち去った時のあの表情が印象深かった。

☆突然ですが美雲さんのツッコミ名場面集4選☆
①第2話のネーム読んでる最中、「("占いおばば"ではなくて)"占いオバ"は主人公の親戚のおばさんなんです!」とミロ先生に説明された時の「紛らわしいな」とか、野町さんのナレーションの癖の強さに「っナレーション気になるな」とか言い方が好きだし、ミロ先生との「パクってますね」「オマージュって言ってください」の応酬がとても楽しい。特に第2話も佳境って時に起きた3回目のそれ!
美雲さん「この期に及んでまたパクリ!?」
鷲尾先生「(食い気味で)オマージュ!」が大好き…笑笑笑 彼女の"信じられない…"って感じの言い方と呆れ通り越して半笑いになっていやいやいや…と首を振ってるのがリアルな反応でよかったな~。
②後半、バイク便のお兄さんにまさかの恋しちゃった後輩の織姫ちゃんに返した「っはは…まじかよ」にはめーちゃめちゃ笑った!何ならバイク便のお兄さんのお名前を「かぁず?!」って聞き返した時の"いや…笑っちゃってすみません…w"って感じで口元ちょっと押さえて笑いを堪えてるところからずっと好き。
③ま、でも堂々の1位はやっぱり第3話のミュージカルパートでの無言ツッコミかな〜! 「誰にも止められな〜い!」って2度目のサビあたりから、隣で作業してた花梨ちゃんも歌い始めたり、伴奏の佐々木さんまで立ち上がったりしたことに驚いて、必死に"静かに!"とか"やめなさい!"とかジェスチャーだけでツッコミ入れまくってるの面白かった〜👏😂
ミュージカルのラスサビは袖にいる役者陣も歌ってたみたいで、美雲さんは"えっどこから歌が聞こえるの?!"って感じできょろきょろするわ、ムービングライト避けるわでお腹痛かった…おまけに舌打ちまで出た回もあったりして地団駄踏んで笑っちゃったな〜!空間そのものにツッコミ入れるの最高過ぎ。
④待って!↑これの前の第3話の弥勒と樹里が出会うシーンを忘れちゃダメだ!某『What's your name?』的タイトルの映画みたいなワンシーンに、演奏の佐々木さんが『前×3世』を弾き始めて「おぉい!!!」って止めに入るの楽しかった!初日は「ジャスラック!」って大声で叫んでたし、中日を過ぎてからは三雲さんが溜息ついて一旦黙ったのをいいことに、佐々木さんがこっそりまた同じ映画の別の曲を弾き始める→また止める→「弾きたがるなぁ…」とうんざりする、のコンボにはお腹よじれたよ!千秋楽には三雲さん渾身の「クソムシが!!!」まで飛び出したのであの場面は完全にボーナストラック。ごちそうさまでした。笑

・第2話で出前届けてくれたなるとちゃんの登場に機嫌悪くなるところ可愛すぎじゃないですか?なるとちゃんの真横で原稿トントンってして煽ってるの見ちゃったよ…「若い子のほうがやる気も出ますか?」の笑みが真に迫ってて怖かったよ…!先生の「…三雲さん怒ってます?」に食い気味で「怒ってません」と返すのも、「怒る要素何かありましたぁ?」と言いながら先生から離れたところに座り直すのも、ラストシーンの関係性を考えるともう〜〜〜それは焼きもち!!!になってマジ萌えた。
・第5話『アンタイトルアンハッピーラブ』で、編集長から「ミロ先生から三雲を担当に戻してほしいと申し出があった」と話がある場面。編集長の「やるんなら二人三脚だ、やれるか?」の言葉にみるみる気持ちが溢れ出したみたいに彼女の表情がくしゃっと歪んだの、素晴らしかったね。「早速ミロ先生のところに行ってきます!!!」と走り出した彼女に、物語の全部が一気にクライマックスへ向けて加速してく感じがしてとってもわくわくした!!!
・この時に「あんな三雲先輩初めて見た」って織姫ちゃんは言ったけど、鷲尾先生の前では三雲さんはずっと"あんな"感じだったって客席はわかってるから余計に熱い。今までずっと「鷲尾先生」って呼んできてたのがここで「ミロ先生」になったのも好き。


久保さんご本人とお話する機会が何度かあって、好きな場面について話をしてみたら彼女のほうからミロ先生について「寝顔可愛くないですか?!」「この人の目の悪い小芝居がまたいいんですよ、レンズ入ってないくせに」「頭をかく仕草が好きなんですよね」っていっぱい語ってもらえて大変に萌えました👏👏👏👏👏 千秋楽にも「(役を引きずっちゃう質だから)明日からどうしたらいいんだろう…」なんて眉を下げるのでもう本当に、抱き締めたくなりました。またぜひ劇場に会いに行きたいものです。

※ラストシーンについては後述します。



○浮谷泰史さん:鷲尾ミロ
喋り出しただけで空気が熱をあげる気がする。空気の掴み方とか、目だけじゃなくて感覚全部がぐっと吸い寄せられるようなあの求心力は本当にすごい。
・開演の演出の妙。前説を終えた浮谷さんが袖にはけようとすると鳴り出したスマホの着信音に「あれ、誰ですか?切ってってお願いしたのな〜!」なんて戻ってきて「自分のでした…笑」と謝りその電話に出る。気を取られているうちに既にもう開演してる、というスタートには"してやられたな〜!"という気分になった。連れてった後輩くんも「本当に開演の時に携帯鳴らしたヤツいたのかと思って俺キレそうになりました」って言ってたよ。
・電話越しに誰かに叱られでもしたのか「はい、はい、はい…」と返事をする中でどんどん彼の纏う空気が変わって、"俳優・浮谷泰史"から"漫画家・鷲尾ミロ"になってくのが見て取れ、眼鏡をかける頃にはもうすっかり主人公になっていたの何度見ても鳥肌立った。
・第2話のネームを三雲さんに読んでもらってる場面で「いや何でフリスク?」「占いオバって占いおばばの間違いでは?」と突っ込まれた時に「斬新かなって」「占いオバはスカーレットバルキリーの親戚の伯母さんなんです!」と返す笑顔が大変かわいかったです。どちらもすぐに三雲さんに否定されるのでしゅんとしちゃうんだけど、新境地に踏み出してみようととにかく試行錯誤してる感じが場面的にも大変楽しい。
・「あなたは生みの苦しみを知らないから簡単に言えるんだ!」と激昂する場面の苦しさは、ハンカチがびしょびしょになるレベルで泣いた。「僕の漫画を待ってる人なんていないんです」「そんな人いるんなら、僕の漫画もっと売れてていいじゃないですか」と訴える彼の泣きそうなお声が堪らなかった、心が軋む音さえ聞こえてくるようで、息が詰まるぐらい自分も苦しかった。
・「私もあなたの漫画を待つ読者の一人だからです!」と強く言う美雲さんの顔を驚いたように振り向いた先生だけど、彼女が「間に合うギリギリの時間にバイク便を回しますから原稿を渡してください」とまた仕事の話に戻るや、"僕はもう"といった感じでふいと顔を背けたのがやっぱりつらかった。
・このあとの場面で、高野ちゃんの「私が憧れてる職業についてるんだから、先生にも夢をあきらめて欲しくない」「先生が本当に描きたいものが読みたい」という話を聞いてる時の先生、頭を抱えて俯いてたんだけど、サイドの席に座れた時にその下でまったく瞬きしてないことに気づいて釘づけになった。物語上その場面では高野ちゃんに彼を動かすことはできなかったけど、それでもちゃんと彼女の言葉が届いてるのかな、刺さってたのかなって思えたし、だからこそ「今から全部描き直したい」という最後の場面での先生の燃えてるまっすぐな目がとても嬉しかった。
・全編を通して、真ん中の作業机ではミロ先生がずっと座って漫画を描き続けている、というのがとてもとても好き。鉛筆でネームを描いたり、インクつけながらペン入れしたり。いつかの回では鉛筆落としたりもしてたけど、それを溜息ついて拾ってるのも含めてずっと、あ〜ミロ先生仕事してんだな〜って息遣いを感じられるのが大変良かった。出番(セリフ)自体はさほど多くないはずだけどそう感じないのは、白い原稿用紙(の形の舞台の)上で動き出したこの物語が全部、彼の描き出した世界だって思えたからだろうな。


《ラストシーンと主人公とヒロイン》

2人の最後の場面が本当に素敵だったので書いておきたい。
・ミロ先生が寝ぼけて美雲さんを「あーちゃん?」と呼んだ時のお声がたいそう可愛かった!!!イントネーションは"風船"と同じ。眠たそうな目をこすって眼鏡をかける、美雲さんであることに気づいてバッと立ち上がる、までの間も絶妙。レンズ入ってないくせに、うまいんだよな目の悪い小芝居、レンズ入ってないくせに。笑
・ギョッと身構えた美雲さんが、眼鏡かけてようやく気がついた先生が頭をかきながら「今一瞬美雲さんが幼馴染みに見えて」「確か名前"あかり"だったかな…その子のことあーちゃんって呼んでてそれであの」なんて早口で弁解してる中、"気づかないで"って感じで小さくふるふると首振っててるの見ちゃって、どうしようもないぐらいドキドキした。

「美雲、あかり…」
ねぇ〜〜〜!まさか出会いのシーンで渡した名刺が効いてくるなんてさ〜〜〜〜!!!聞いてないよ?!?!?!「下の名前、僕ずっと"せい"さんだと思ってたんですけど、星って書いて"あかり"って読むんですか」なんて…おいおいはじめましてで貰った名刺を机の上に置きっぱなしとかどんだけものぐさなんだよミロ先生〜〜〜!(そこじゃない)

「あなたが僕の初恋ですか」
これはベストオブ台詞賞。字面で見たら結構くさいし王道ではあるんだけど、それでもこの物語を全部見た上でこれがポンッと、焦りまくってるミロ先生の口から飛び出した時の、あのときめきは忘れないわ。

「そんな漫画みたいなこと、あったら困るでしょ」
そしてこの美雲さんのいたずらっぽい笑顔に100億満点。おめめに涙が光って、それこそお星さまみたいにきらきらしてて本っ当に素敵だった。「私が?先生の幼馴染み?そんな訳ないじゃないですかぁ!」と散々笑って否定しておいてさ…彼が見てない隙にさっと鞄から出した片割れの星座早見盤、それを背中に隠し持ってるの、"内緒ね"ってちっちゃく舌でも出してそうな感じがもう〜堪んない!ぱっと光る星空の照明👏👏👏👏👏

全部に夢があって、大好きだった。



"カーテンコール"も物語の一部

カーテンコールで珍しく慌てふためいて噛みまくってる浮谷さんの姿を見ながら、それがそのまま"主人公・鷲尾ミロ"に自然とかぶる。猫背なのも頭をかく仕草も、焦って早口になってるのもそのまま。お辞儀のあともふわふわしたお顔で「えっと……何だっけ」なんて。インフォメーションの言い忘れもしばしば。
彼の活躍を追うようになって数年が経ちますけど、幕が下りてもあんなふうに役を脱いでいない彼を初めて見ました。そういう意味では幕が下りるも何も、そもそもはじめから「役との境界線」らしきものがどこにもなかったことに気が付いて。彼の書いた言葉が、描いた世界が、彼の生き様そのものであるように感じられて、ああ自分は何よりもこの人の"情熱"に惹かれてここまで来たのだなと実感しました。

 "鷲尾ミロ先生"の描いた漫画の展開が彼らの現実にリンクする、というあの演出は、同時に"浮谷泰史さん"の描いたこの舞台もまた、常に何かを表現せんとする役者さんの今に、そして今仕事をしている自分の現実に重なっていくようで、非常に共感力が高いなと思いました。誰の胸にも一撃あると思った。


◎主宰・浮谷泰史という人

客席入ったら既にそこにいる、という事実に驚いたよ。出演者だし、しかも主演なのに前説のみならず開場時刻から客席案内までしてるしさ。おしゃべりしながら舞台上をぐるぐる歩き回る主宰。長ったらしいのに何だか耳にするする入ってくるお声。
携帯電話の電源は切る、飲食はご配慮を、そういった諸注意と共に『有事の際の具体的な対応』や『今ここで演劇を見ることの意義』についてもテンプレートでは済まさず彼自身の言葉でお話してくださるのが非常によかった。
「演劇というのは、今この瞬間に目の前で起きてることを生で楽しむから面白い」
「この2時間だけはどうか僕を、僕達を信じてほしい」
観客が割いた労力やお金や"今"という時間を大切に思ってくれているその姿勢に、彼の演劇やそれを選んでくれたお客さんに対する情熱や愛を感じる。

作・演出に主宰で主演、正直この人マジかよと思いました。でも、この舞台においての主演が、主人公が彼だったから「描いた人の思いがちゃんと乗った」熱のある作品がここまでダイレクトに届いたのではないかと思っています。かっこよかったな。
ファンとして、客席にいられて幸せでした。


自分はあの人の演劇がとても好きです。


《浮谷さんの次回出演》

ねぇ、今年ももう2ヶ月ちょいだってのに舞台あと3本も控えてるのマジ鬼スケジュールで笑っちゃうからついでに見て!(余韻どこ?)

①11月6日~10日@中野テアトルBonBon
『なまくら刀と瓦版屋の娘』三平太
初参加の劇団6番シードさん!ドッタバタの江戸時代・同時進行型コメディ!共演者も猛者ぞろいで楽しみ!

②11月20日~24日@高島平バルスタジオ
『歌舞伎町シュガーナイト』片桐司
☆飯塚志織さん所属バルスキッチンの新作公演!
前作の『歌舞伎町ビターナイト』から続投してホスト!え?①終わってから稽古期間一週間もないはずだけどシングルキャストってマジ…?!

③12月21日~29日@新宿村live!
『Wells -魔女と夜明けの星-』作・演出・出演
☆アンラブでは「琴坂織姫」役だった東條詩織さん、若菜唯さんも出演!続投うれしー!
☆外部公演ながら、野町祐太さん、下田修平さん、桑原聡さんのチョコレイト旅団の皆さんも総出演!
やったー!

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​ここまで読んでくださった皆様へ、愛を込めて。
公式ツイッターを楽しく彩ってくれた旅団ロゴマークのお馬さん、客席案内などスムーズにしてくださったスタッフの皆様、素晴らしい時間を共に作ってくださった全ての皆様へ、感謝申し上げます。

ありがとうございました!
お疲れ様でした💕

2019年10月26日 自堕落✒