自堕落なるままに日暮らし

全ての感想は備忘録

劇団6番シード第71回公演 『ザ・ボイスアクター』(2020)感想 ::: みんな!おいらと一緒に旅をしようぜ!

劇団6番シード第71回公演『ザ・ボイスアクター』


 観てきました!すんごかった!すんごかった!!!
《アニメ編》を観た初日の休憩中、あまりの衝撃と面白さに座席で頭抱えたよね。
「何故今自分はこれを一人で見ているんだ…?!」って友人やフォロワーを誰も誘わなかったことをひどく後悔しました。
 王道の少年漫画みたいに主人公がめきめき成長してくところが見られるアニメ編は、七転八倒しながらもまっすぐ走ろうと奮闘する主演の藤堂瞬さんがとにかくカッコよくて! え、本当に声優さんなんじゃないですか?!ってびっくりするようなお声出しちゃう高橋明日香さんや牧野純基さんと共に『流浪の民 ナガレイン』の世界観を味わい尽くせた!爽快感!これいつオンエアされるんですかね?全24話早く見たいんですけど…

 その後観た《オンライン編》も熱量が半端なくて…まさか泣くなんて思わんやん…
この感動がアッチアチなうちにと公演からだいぶ経ちましたが記事にしました…!


あらすじ

《アニメーション編》

 中堅俳優の前田屋七は、人気アニメ「流浪の民ナガレイン」にゲスト声優として出演することとなり、初めてのアフレコ現場に緊張気味。しかし個性派揃いの声優達、スタジオでのしきたり、静止画の絵コンテでのアフレコにギブアップ寸前。
そんな前田に救いの手を差し伸べたのは、スタジオの隅で地味で目立たない存在だった人気声優、山井まこだった…。

《オンライン編》

 ベテラン声優の御子柴瑠璃は、人気アニメ「流浪の民ナガレイン」のゲームアフレコに参加することとなる。
自身がCVを務める「少年怪獣ポチョミン」はオンラインゲームということで膨大なワード数があり、ゲーム会社から来たクライアントは無理難題ばかり。
御子柴は付き人の友田茜と共に独自のアフレコスタイルを確立し奮闘するが、数万ワードに及ぶアフレコにやがて現場には不協和音が…。

キャスト・スタッフ

公演詳細

日時

2020年11月19日(木)~29日(日) 
19日(木)19時…アニメ
20日(金)19時…オンライン
21日(土)13時…アニメ/18時…オンライン
22日(日)13時…オンライン/18時…アニメ
23日(月)13時…アニメ★/18時…オンライン
24日(火) 休演日
25日(水)14時…オンライン★/19時…アニメ
26日(木)19時…オンライン
27日(金)19時…アニメ
28日(土)13時…オンライン/18時…アニメ
29日(日)12時…アニメ/17時…オンライン

★…終演後トークイベント

劇場

池袋 シアターKASSAI

上記情報は公式HPから抜粋しています
www.6banceed.com


キャスト(オンライン編)

【注意1】ここからは役者さん個人の感想と備忘録。DVD出るし、見逃し配信の期間中でもあるんですけど…伏せて書くの難し過ぎたので、ネタバレばりばりにしてます。 初見の驚きや衝撃を楽しみにしたい方は読まないでください。

【注意2】オンライン編に出演されていたキャストさんのみ。両編に出演されていた方はアニメ編での活躍に触れていることもありますが、何も記載がない場合はオンライン編のお話をしています。


祐天寺真澄 役:兵頭祐香さん
 泣き顔で笑い取りにいける女優さんを見たのは人生で2人目です。最高だった。
ゲーム会社側─"黒船"勢のボス・クリエイティブデイレクターの祐天寺さん。アニメ編を先に観てしまったからレギュラー声優陣に対する愛着が強くて、最初は御子柴さん(宇田川美樹さん)たち同様とにかく彼女の上から目線な物言いにイライラしちゃってたんだけど笑、収録途中に「チェック!」と言うのも忘れて「いい、いいわ、すごくいい…!」とノってくるあたりとか、作品愛の深さが窺い知れるたびに好きになっていきました。だってさ、台本の量に慌てふためく声優陣に「エリアAの収録を始めます、台本2ページから129ページはお持ちでしょうか」と指示するシーンとか、この人台本もってないのにページ数まで把握してんのか!?って気がついた時は超〜驚いたもんね。

 特に好きだったのは中盤、ナガレとの別れの場面の収録中、眉間にグッとしわ寄せて泣き出すの堪えてるお顔!思わず前に伸ばしてしまってた手もそうだけど、ああ彼女の目には今去ってくナガレの背中がしっかり見えてるんだろうな…という、イメージがこちらにもありありと伝わってきた。収録がそこで一旦終わったのにイメージに浸って涙目で何も言えない彼女に視線が集まるとこ、ようやく見られていることに”気づいた”時の表情の変わり方さぁ、あれはもう笑わざるを得ないよねw 間の取り方マジ最高だったな〜!誤魔化すようにして「チェック」をマイクに向かって言うまでのぎこちない首の動き方も含めて、何だろう、祐天寺ってもうただ不器用なだけなんじゃん〜〜〜って一気に親近感。一番最後に泣き虫〜と笑われた時に返したサムズアップとか、ガヤ録りの説明に「いいですね、やってみましょう」と笑ってくれたところ、暗転直前に二階のブースで自分もモンスターの鳴き声をやってみようとして眉根を寄せながらもお口動かしてたところ、とにかくめちゃくちゃ可愛かったです。

 御子柴VS祐天寺の睨み合いが起きるたび、彼女が「上等です」「やれるもんならやってみましょう」と好戦的に返すものだから火花がバチバチ散ってるような錯覚を何度も起こしたな。でもそれがただの喧嘩やいがみ合いではないとわかるのは、それぞれに自分の仕事に対する自信や矜恃、こだわりが見えるからで。ただのワンシチュエーションコメディに収まらず、NHKでやるドキュメント番組みたいな見応えがあったのは彼女の力も大きかったなと思います。マジでかっこよかった。


日野優 役:平山佳延さん
 黒船勢のプログラマー。イライラメーカー第二号!笑 登場した瞬間から何かヤバそうなの来た!って思わせられるの凄すぎでは。モーションアクターのケイ橋爪(松藤拓也さん)と、ハンドサインで「フォトライズメタファーに気をつけて、OK?」的な専門用語ペラペラで意思疎通してて余計にウワァ、違う次元の人たちだよどうしよう…日本語通じるかな(?)となぜか自分が震え上がってしまってました。

 祐天寺からの「チェック!」を受けて「クリア」(もしくは「ノット」)というゲーム音声として使えるかどうかの判定を下してくプログラマーのお仕事。タイミング命なあの舞台の中で、笑いとシリアスの舵取りを担っていたのは75%ぐらい彼ではないかしら。「クリア!」の時におめめカッと見開くのが好きで、判定を待つ声優陣同様、「チェック!」が聞こえるたびに彼の顔にギュンと視線が吸い寄せられてました。笑顔でうんうん、と頷きながらも口から出たのは「ノット(NG)」だったりして、そのもったいつけた間の取り方とか一瞬みんなを騙し切る感じとか巧みだったよねぇ!何度椅子から滑り落ちそうになったことか笑

 終盤、高精度ボカロシステムへの移行について、御子柴さんの本音(弱音とも言うのかな)を聞いてた時、「御子柴さん」と呼びかけた時の穏やかな微笑が本当に好きだったな。それでも、プログラマーとしてやれることがわかってるから心を鬼にしなくちゃいけなくて、みるみる表情筋が引き締まってくところ、釘付けになった。御子柴と祐天寺が睨み合ってる時の「あのですね、現実的な着地点は…」ってフォローに入ったあの焦りも。全部わかってるから、わかってるから感情論だけでは頷けない、大人の歯痒さが出ててグッときたな。

 Excelってそうですよね!?と目貫さん(鶴田葵さん)から同意を求められた時の「俺Excel使えないんで!」のドヤは最高だったよな〜!!!俺ぐらいになると必要ないとかゴニョゴニョ言い訳してたけど、目貫さんのExcelさばきに「速いっ」と目を見張ってて可愛かったw
 余談だけど、25日のアフタートークイベント回でやったシャッフルアフレコ企画。くじ引きで平山さんがラスボスに当たって大喜び!結んでた髪もほどいてガチのメデューサ感たっぷりなラスボス悪の女王でしたw それもDVD収録されるらしいと聞いて楽しみが増えましたよ〜!


ケイ・橋爪 役:松藤拓也さん
 黒船勢の刺客・モーションアクター。アクロバットで飛び込んできた時は思わずおおって声出しちゃった。しなやかでスマートで、鼻筋とかいろんなとこシュッとしてるイケメンなのに。体の動きだけであれだけの笑いを生み出せる人、初めて見たかもしれない。「お前、仲間になりたかったのか?」と「村長からもらったヘチマでも喰らえ〜!」のとこ大好き!

 ほぼ唯一の喋るシーンさぁwww 「アクアソリッド+では7000キャラクターを演じ分けましたけど、何か?」の鼻にかけた感じ、イラッとする物言いだけどあまりに次元の違う偉業なので何も言い返せない!IT’S SO COOL!ただの変な人じゃなかった〜!って評価が爆上がりした途端、「じゃああのゲームの中の人って「中の人って言うなあ!!!」のキレ具合でドカーンと2枚目(イケメン枠)から3枚目(コメディ枠)の人に転がり落ちてきて、しこたま笑いました。

 エリアEの収録、ポチョミンの属性変化でモーションにも5種類の変化をつけてたの、表現力の豊かさにびっくりした!同じセリフだから顔の角度とかは基本変えないようにしつつも、属性に合わせて姿勢や手の見せ方でそこにビジョンが投影されてくる。自分は特に炎のポチョミンの躍動感が好きでしたね。きっとキャラビジュはメラメラ常に炎が揺らめいてて、動くたびにフィラメントがフワァッと舞ってる、そんな様が見えたから。
 ラストスパートともいえるナガレとの思い出を語る分岐やアイテム名連呼の収録、一瞬でふさわしいポーズとるのマジですごすぎて。瞬発力の高さに唸った。ダンスみたいに覚えちゃえばいいって話でもないと思うんだよね…
 確かキレたシーン以外はほとんど喋ってなかったと思うんだけど、実に雄弁な方でしたよね、身体表現だけでなくて目線の動きとかも。収録を再開できるぞとなった途端に、下手端からギューンッとスタジオ飛び出して着替えに走ったところ、わーんって声上げて泣きたいぐらい好きでした…!



山野不堂 役:小川大悟さん
 最高。両編ともこの一言に尽きる👏👏👏👏👏
初めてアニメ編見た時、もうね、何?この人のターン?この人という一種のイベント?コーナー?なんて言えばいいかな…『スーパー山野タイム』にしよう。とにかくこの人の時間をみんな早く”体感”してくれ!って思ったw あれはヤバいもん。笑っちゃいけないけど吹き出したら止められないタイプの笑いがどっと押し寄せてくる。文字に起こしても何も伝わらないから本当、アニメ編のDVDか見逃し配信で見なね。

オンライン編
 黒船勢に一番イライラさせられてた被害者だったよね〜プログラマーの発言にイライラ、タイプ音にイライラ。なだめられて壁に手ついて何とかその怒りをやり過ごそうとしてるのが目に入りつつ、収録一区切りした時の「ノイズ入りまくってるぞ!」という声の怖さ(疲労も見える)。低くてどっしりと深みのあるお声だから余計に凄みがあって。ミキサー技師たる山野さんのこれからの仕事量に思いを馳せたらこっちもすごいハラハラしちゃった…本当にお疲れ様です…

 「あの人は、昔っからあんな感じだ」と友田(工藤夢心さん)一人になったスタジオに入って来てくれるシーン、大好きです。ドアの開け閉めも静かで(きっとそれは彼の仕事柄だろうとわかるのがいい)、入ってきた御子柴さんと二人にしてやるその心遣いも優しい。定位置であるブースの椅子に腰掛けた背中のから漂うなんと大きなことよ。。。
 友田が「私が御子柴さんの出せない音をフォローします!!!だめですか!?」と割り込んだあの場面でも、真っ先に自身の「仕事」に取り組むことでそれに応えた彼が本当にカッコよかった。思い出すだけで泣いちゃうよ。見てる人は見てるよ、ってわからせてくれるの本当にあったかい。
あとさ、火の属性変化に対応できちゃった時の「俺はどっちにいればいいんだ…」という困り果てた様子がすーごいよかったな〜!(すかさずこっちに残ってて!とばかりに亜美ちゃんから袖を引っ張られてたのもよい絡み☺️)



埼玉次郎 役:小沢和之さん(6番シード)
 埼玉さん、似合うな〜〜〜!
すっとぼけたおじいちゃん声優としてのキャラが確立されててさすがだと思った。モンスターの鳴き声や兵士などの兼役をコミカルにこなしつつ、でも終始おちゃらけなわけでもなくて、「フハハ、俺様の顔を忘れたかあ!」ってサソリ男爵になった時の悪役ボイスなんかはダンディで素敵。モンスターのお声についてご自身でも研究されたってアフタートーク回でおっしゃってたけど、そもそものたっぷりと響きのあるお声とも相まって、「ブァアアア」って一言だけでもうそれっぽいエフェクトがかかってるように聞こえたのすごかったー!

 「YouTubeとは何ですか?」的なおじいちゃん質問を繰り出したり、所謂天然ボケみたいな勘違いをやらかして「ちがうちがう」とツッコミ入れられたりする役回りが多いんだけど、それでふわっと空気がゆるんでリセットされる。本人はそれを気に留めることもなくまたいつもの調子で自分の仕事に戻っていく。後半の盛り返してくシーンでも「そうですよ!声優の、人間の声でやりましょうよ!『ポチョあの光はっ!』」ってポチョミンの声を出してみようとしてすかさず山野さんから「ノット!」言われてた時は、もうほぼクライマックスで涙びしょびしょなのにしっかり笑わされてしまった。役の中での目立つ一点ってのを弁えてるからか、逆にオフになった時の馴染み方がものすごくて、いい意味で喋ってない時にどこにいるのか時々見失ってしまってました…


横倉幸子 役:松木わかはさん
 今欲しいのはそれだよそれ!というところを確実におさえてくる人だった。思わず見ちゃう…というか今見たいなと思うところにいてくれる、が近いかな、その安心感。さりげなさが良い。横倉さんがいたからあのアフレコ現場は潤滑に回ってたと思うし、松木さんがどこにいても横倉さんを生きていたから奥行きが生まれて真ん中を余すところなく楽しめたんだと思います。

アニメ編
 物語が動く時、それは前田(藤堂瞬さん)が奮闘する時、そして前田を見る周りの人が影響を受けて変わっていく時だったと思うのだけど、それらを見てる彼女の目が、本当に本当に素晴らしかった。前田に直に関わったり名前を呼びかけたりする橋乃下(牧野純基さん)たちほどの劇的な変化は見せない。でも確かに彼女の中にある前田への評価は最初のそれからは変化していて、これで仕事が進めやすくなったとばかりの楽しそうな表情もいいんだ。

 あとね、声だけ入るアニメの主人公ナガレ(寺島さん)の決め台詞「俺のハートもアッチアチだぜ!」に合わせてノリノリでポーズ決めたりしてるのも好きー!かわいい。ライラ(亜音さん)と一緒に、絵コンテのパクと急遽変更になった大佐の名前を合わせるために「おでーーん大佐」と大真面目に笑い要素挟んでくるのずるい。うまくいったからって小さくガッツポーズ決めてんじゃないよ可愛いな。


オンライン編
 司令室長のキレンは終始落ち着いたトーンで「タミオ、今もらったアイテムは大切にしておくのよ」とか「この街に行くためにはこのアイテムが必要よ」とかプレイヤーたるタミオを導く役なんだけど、芯があって安定したお声がとても美しくて、ずっと聴いていたくなりました。マジで配役がぴったり。だから「アルメニア暦5012年…」というアニメ本編の冒頭ナレーション任されてるのもわかるわ〜!つか本当に声優さんなんじゃないの?違うの?彼女の声で名作の朗読CDとか聴きたいんだけど。
 終盤、そんな彼女がラスボス戦で「今よ!バトルモードに入って!」と叫んだ時の盛り上がりったら!心のなかでキター!を叫ぶぐらいにははしゃいでいました。「流浪合体!」「ナガレイン!」 (と他の声優が叫ぶ中、周りの見えないギャラリーに向かって手を振りながらマイク前まで歩いてくるとこマジでいいよな〜〜〜!)
「フィーチャリング…」 (ここで、マイク前で息整えて、からの) 「タミオーーー!!!」 目カーッて開いて甥っ子の名前を叫ぶ横倉幸子!キャーッ!大好きーつ!!!って手振りたかったよマジで。耐えたのえらくないか?!

 これ書いてる途中に、一緒に観に行ったママンがちょっと言わせて!というので何かと思えば
「横倉さんが、喋ってない時でもずっと生きていたのが素晴らしかったと書いておいてください」と言うので原文まま載せておきます。
松木さんのお芝居を見るのはENG『ニンギョヒメ。』含めて今回で3度目、これからもぜひ注目していきたいです〜〜〜!



大等一人 役:椎名亜音さん(6番シード)
 職人。いやマジでどうなってんだこの人は?
しれっと難易度高い&仕事量も半端ないのに、全部をこれが通常運転です〜みたいなノリでそつなくこなしてるように見えるのがマジでやばかった。

 司令室員のライラというキャラクターの役柄上、小難しいカタカナの単語やゲーム内のセリフ量は人一倍あるし、ポチョミンに負けないほど喋ってる。敵の出現を知らせて「バトルモード、オープン!」のパッキリ高音 ⇔ ゲームの進行に不可欠な操作方法のアナウンスは優しく を都度お声のトーンを変えてアフレコなさってて、その職人芸にまず目を見張った。彼女の声の流れるRPGゲームやりたい。

 好きだったのはねぇ、「左斜め前方やや右寄りからゾナ生命体!バトルモード、オープン!」ってとこ。どこなんその方角、ジワる。「どっからでもいいよ!」って頓田林からのツッコミにそれな!と指差したくなったw で、全ての「バトルモード、オープン!」が見事に同じトーンなことに気がついて、結構な回数あるのにマジか?!亜音さんいい声だよな〜って普通に聞いちゃってたけど、あれを保ち続けるのめちゃめちゃエネルギーが要るでしょ!ってスッゲーびっくりした。
 おまけに声優陣はみんな台本を全部読み切れてない(って設定を引きずってる)から、アフレコしながらその内容に対して驚いたりする芝居も入ってて、「巨人族グルジアの後ろから、さらに巨人族グルジアがぁ(?!!)」ってもう素が出てる出てる!ってめっちゃ笑ったけど、そっか、つまり二重で芝居してたんだな…余計にこの人やべーな… ※さらに彼女はアニメ編にも出ずっぱりなので…

 終盤、御子柴さん(宇多川美樹さん)の50音収録中、その背中を食い入るように見つめている姿には本当にやられました。もらい泣きというのとはちょっと違くて…彼女の中の、憤りややるせなさが溢れて涙になってくのが見えたから。ぎゅうって握られてく拳も本当に辛かった。

 だのにさぁ、この人ってばオフ芝居中、松木さんと一緒にモーションアクターの松藤くんとこへ機嫌取りに行ったり、お菓子持ってちょっかいかけに行ったりしてるのに気がついて吹き出したんだがーw いや余裕か?!観劇回数が少なかったアニメ編ではついぞ、本番中にみんなで写真撮ってたらしいポイントは見つけられないまま…いや余裕か??!これだけの仕事量でも余裕なのか?!椎名亜音のHPはどうなっている??!!

 そして声優・大等一人のスタイルが決まっていたのが、私いつもいますよ感があって見やすくとても良かったですね。お洒落でモードな衣装(&片手に午後レモンティー)ってのもそうだけど、収録中は腰に手当てて膝を落としてるのとか、収録しながら気になったところはすかさずペン取り出して日本語として違和感がないようにメモったりするのとか。細部まで生きてる。あと細かいと言えば「台本2P〜129Pはお持ちでしょうか?」って祐天寺から確認があった時に やべやべ足りね って感じで箱のとこまで取りに戻ってたのもそれっぽくて好きだった。そうだぴったりな言い方があったぞ、“芸が細かい“!

 アニメ編では、司令室のライラとは別(?)で脚本家曰く「二等身のキャラクター」との二役を演じ分けていて、「聞いてますぅー?わたしのはなしー!」などとあまりにもかわいー!なボイス(レア度☆☆☆☆☆☆☆)も堪能できちゃったのマジ美味しすぎました。横倉さんとのテスト前の自主練風景はセリフに対して緊張感がまるでないのもとても好き。

 ねぇ、しかも歌。ウメェのは知ってたけどいや歌。マジで声優か?多才か?CD買いました。
(読み返したら終始怒ってるみたいな口調になってしまいましたが怒ってません。勢いも大事だと思い、このまま残すことにします)



瑞希亜美 役:柳瀬晴日さん
 待ってましたーーーーーー!瑞希亜美ちゃん、見た目はこれでもかとかわいくて、中身は隣のイケメンが二度見するぐらい男前!本領発揮ともいうべき役の見せ方に目が離せなかったよ!

アニメ編。ロリータファッションのうさちゃんから出る「死ねばいいのに」の破壊力。
 予告編収録中、物凄い形相で隣のマイクの山井(高橋明日香さん)を睨みつけてるシーンの印象が強いんだけど笑、急遽変更になった「ヴァルカリアス おでん大佐」の名前をめぐって山井がテイクを重ねていた時に、なぜか彼女もキューがかかるたびにいちいち睨みつけ直していたような…?ライバル視の仕方にもスタイルがあるんかい!と思った記憶があって面白かったなw
 あときっとみんな思ったろうけど、足ね。いやいや、変な目で見てたわけじゃないよ、「集中の仕方は人それぞれ。足音消して、気持ちも込める」って大等さんが教えてくれて、彼女のストイックさに触れられる瞬間、それぞれの「自分の仕事」に対する向き合い方の一端がわかる瞬間でとても好きなんだよね。いやいやいや、生脚だからって変な目で見てたわけじゃないって。

オンライン編。ゴスロリ決まってて超可愛かった〜!
 この作品をアニメ編から数えたらシーズン2っぽいな〜と感じたのは、彼女の性格がどこか丸くなったような気がした、というのが大きいかもしれません。ツンデレ…というか、罵倒で全ての喜怒哀楽を見せるタイプの彼女が、大等と台本めくりのペアを組むことになった時に「嫌いじゃない、こういうの」と明確にデレたのが大きいね😌💕 結構オフでも一人でも完結するお芝居されてるというか、端の席まででかいダンボール箱運んでどこに置くか悩んだり、ふわふわの鞄の中からペン取り出してふぅって一息ついたり、彼女一人だけに視点絞って観察してても全く飽きないように見せている方だけど、何度か席がお隣だった埼玉さん(小沢さん)とモンスターっぽいガオガオって手のジェスチャーしながら何かお話ししているのが見受けられて、あら〜アニメ編だと一人で集中してたイメージだけど、そっか誰かとお話しするようになったんだねぇ〜!亜美ちゃんって年上の声優さんには懐いてそうだもんね〜などと、微笑ましく思ったりもしました(お前は親戚のおばちゃんか?)。

 二本しかないマイクを使って入れ替わり立ち替わりの収録だから、マイク前の如何にして素早く次の人へあけ渡すかの静かなる攻防があったんですが、柳瀬ちゃん&亜音さんペアの連携ぶりには、声優としても俳優としてもプロ根性がばちばちに感じられて熱かった!

 一番好きだったのは、友田からマイクを奪ってポチョミンのセリフを言った場面。 「私のほうが似てる」って言い方があまりにもかっこよくて。”先輩”だから負けられなくて、”声優”だから曲げられなくて。台本引っ掴んで友田を押し退けたのは、ボサッとしてたらその座は私がもらうから、的な彼女なりのエールにも感じられて。毎回、惚れ直してました。大好き。

 で、ここからは彼女を見てて浮かんだイメージの話をしますが、瑞希亜美ちゃんはテレビで御子柴さんの声を聞いて育ってきたはずだと思っていて。彼女の声質ーー凛と澄んでいて、甘さも鋭さもあるお声から、お仕事では『少女メグラド』をはじめミステリアスな役を振られることが多そうだけど、本当はやんちゃ坊主なポチョミンみたいな役だってやってみたいんじゃないかな。きっと小さい頃はテレビの前で声真似とかしてたと思うし。だから、属性変化の「風」として御子柴さんと一緒にポチョミンの声を当ててたとき、夢の共演を果たしたんじゃなかろうか・・・と勝手に背景を妄想したりもしてました。



ウツボ健一 役:土屋兼久さん(6番シード)
 ウツボさん、ええ声〜!低音でお腹に響くあのええ声を最大限に活かしたキャラで超ハマってた!「はいはい大御所ですよ」って自称できるだけの貫禄と実力とが登場時から滲み出てる。本人はそこに割と胡座かいてる節があるけど、見学にと連れてきた生徒の目貫さん(鶴田葵さん)から褒め殺しにあうとかしこまって座り直してるから面白かったw
 両編とも、沈み切ってどんよりと停滞した空気に明確にNOを示すシーンがあるけれど、たぶんそこには場の空気をおさめようって気持ちよりも、単に「俺が嫌だから」で動いてるのがわかるんですよね、そこが好き。いっぱいいろんな現場でお仕事してきたからだろう擦れた感じ(アニメ編での「収録終わっていざオンエア見たら別の声優に差し代わってるとかよくあるぜ」的な話も実感がこもりまくってたし)。疲れたから早く終わらせたいを隠さない感じ。

 オンライン編で好きだったとこは、「ノット」って紙飛行機なげたところ。
御子柴さんに向けた「茶番は終わりにしようや」も、そのすぐ隣にいた目貫さんを見ながらの「こんな大御所になっちゃダメよ」の言い方もすごく突き放してるけど、意地張って引っ込みがつかなくなってる御子柴さんを諫められるのはやっぱりウツボさんしかいなかったし、そう考えるとあのセリフは”優しいだけが優しさじゃない”だよな…ってグッときた。
 ラストの怒涛のアフレコシーンも隙あらば帰ろうとしてた彼だけど、目貫さんがラスボスに抜擢されるといそいそと台本めくり係をやり始めてその肩身が狭そうな感じにどうしても笑っちゃったよね。喋り終わった彼女がマイク前を次の人に譲りやすいようにサポートして腕を引いたりしてあげてて紳士じゃん〜!と高感度上がった(失礼)。あと、この時って中央のマイク前は御子柴さんが固定で立って、属性変化のために選ばれた人たちがそこに一言ずつ混ざってくっていう、立ち位置とかわけわかんなくなる場面なんだけど、ウツボさんが御子柴さんの隣にくる時は、必ず彼女の背に手を添えて”今からそこ入るよ”アピールしてたのすっごい優しくて大好きだった。
 リハの時はやる気全然出さないくせに!出番少ないからってのんきに眺めてたくせに!結構な頻度で甘噛みするくせに!「エックちゅボタンで右コマンドが開く」って、、、ネギシ総統ほんとにそれでいいんか?!になるのに!仕事スイッチ入ったらちゃんと強いのがよくわかった。さすが大御所。「お前は今、レベル9999の扉を開けた」までの収録、ガンバってください♡



目貫綾子 役:鶴田葵さん
 お声が「オアシスフェアリー」にぴったりで本当ステキだった…!
追加カットの収録「私が案内してあげる。ついてきて」って台詞があったけど、半分囁いてるみたいな言い方に”内緒よ”って言われてるみたいで毎回ときめいてました。な、なんちゅう透き通ったお声なんじゃ…

 レベル99の扉が開かれた、ラスボス・マハルキストルネードへの抜擢。その第一声たる「はーっはっはっは!」って笑い声からもうしっかり"悪の女王"の威厳が出ててマジ熱かったな〜!ゼミ生とか言って、あれはしっかりレベルカンストしてたと思います。

 見学という立場上、ドアの近くに立つことが多かったと思うけど、誰かが通ったあと必ず音立てないように丁寧にドアノブ押さえて閉めてるの見てたぜ(何のアピール?)。その丁寧な振る舞いがお仕事につながっていったんだよ…って思うし、きっと目貫さんはこれからも「ウツボ先生が扉を開けてくださったから」って言い続けていくだろうけど、あなたの嗅覚とセンスがあれば大丈夫だよっ!って、今後のことまで応援したくなるようなキャラクターでした。やっぱりねぇ〜メガネ外すのドラマチックで大変よかったのでコンタクトにはしないで欲しい。



田楽丸夫 役:羽根川洸太さん
 音響監督なのに、大御所声優陣VSゲーム会社勢VSミキサー山野 の間でめちゃくちゃ板挟みだったろうな…というのが、必死に明るく振る舞おうとしてるけど震える声からビンビンに伝わってきて、その心労は察するにあまりある。「ここで一旦休憩でぇす…」の力の無さにはエナドリ差し入れたくなってました(?)

 鮎川つむじ(須山朱里さん)がニコ動中継してる時の彼が可愛かったんだ〜!スマホ構えてる頓田林が「いいぞ!応援コメントもいっぱい流れてる!」って言ってる後ろからその画面を覗き込んで嬉しそうにしてるんだけど、頓田林の立ち位置が変わって鮎川越しに自分がカメラに映ってる!と意識した途端、さっとデスク周りをいじりながらカッコよく仕事してる風を装ってて、そういうとこ!田楽ちゃんっぽい!と思って大変よかったです。

 場の空気が沈んできても穏便に済ませたがるような、ゲーム会社はクライアント=お客さんだからそちらを優先したがっているような彼だから、ミキサーの山野さん(小川大悟さん)の実力公使にも止めろ!って声をあげていたわけだけど、友田がポチョミンの声でアフレコをし始めた時、山野に次いで走り出して「チェック!」を叫んでくれたのが本当に嬉しかった。

 ラストのアフレコシーン、ポチョミンが分岐になる箇所を続けて喋るのに合わせて、モーションアクターの動きにポチョミンを投影しているのか、そちらを見ながら彼自身も百面相してて、すっごく愛おしくなりました。台本ばさばさ確認しながら「分岐です!」「分岐もどって頭!」とヘロヘロになってた序盤から考えると、バトル内のセリフは全て重複!」「これも重複!」と調子づいてからのウキウキな声に元気もらったな。日野さんの「残り36ワード、120単語〜!」って掛け声と同様に、進捗状況を伝えてくれるのでスパートかかるというか全体の士気がそれでまた上がってくる感じがしてました。
 鮎川と頓田林が「これがオンラインゲーム!」とはしゃいでいるのをそうだ!って感じで指さしたりもしてて、本来のチャラ男ぽい特性(?)のノリの良さが見えたのもよかったよね〜!二階のブース組みーんな好き!



鮎川つむじ:須山朱里さん
 新人アイドル鮎川つむじックス…不思議なテンションのあの子、めちゃんこ可愛かったな〜!劇中何度も「空気読め!」って怒られてたけど、そういうのバリバリに打ち破ってわがままに振る舞うだけの度胸がありながらマイク前ではあまりの勝負弱さ!笑 その残念さ加減にしっかり笑わされてしまいました…鼓膜の真ん中通るルンルンなお声がかわいーんだよー! 

 力み過ぎてたった一言のセリフも言えないの!?ってみんなずっこけちゃうあれはまさに迷場面!
「おあおあおあおあオアシスの入り口だったのだぁああ(↘️↘️↘️)」のモンスター感がマジでツボにハマってしまい、実は流暢に喋ってるところよりこのフレーズを楽しみにしてた節があります笑 その後の一枚だけの台本を掲げながらの「セリフ増えますように」の言い方が、マジで自分の失敗を失敗だとは微塵も思ってない人の声でやっぱり最高だったな〜。「それ以前にカットされないことを祈れ!」って怒った頓田林さんの胃が心配になりましたマジで。でもそういうポジティブ振り切ってるところはアイドル向きだから!今後に!今後に期待して!(何の話)

 オフ芝居中、ブースに置いてある機材を勝手に触ろうとして叱られてるのも見てたぞ〜鮎川VSミキサー山野という”静かなる攻防”はここにもあったか🤭 収録中の台本めくりのドジっぷりはイライラレベルMAX級なのに何か憎めなくてな…台本抱えてあっちへうろうろ(足音トコトコ)、こっちへうろうろ(足音トコトコ)みんなでしーっ🤫で声優陣は困っただろうけど、こっちは大いに楽しませてもらった!笑 きっとあれは『可愛い天災』だったんだ…

 「アイテムゲトぉ!」「廃墟の街からゲームスタートなり!」と、ゲームの仕組みもアニメのナガレインのことも詳しい鮎川 ↔︎ 時折「そうなの?」と返事するゲーム系には詳しくなさそうな頓田林との対比で、この舞台の背景設定が見えてきたり専門用語の噛み砕きがなされたりして分かりやすかったですね〜! 「マジ熱いんですけど!ダーク・ナガレ!」的な反応や「ナガレの優しさマジック…;;;」の言い方に、如何にこれが感動的なことであるか!という実感がぎゅぎゅっと詰め込まれているので、実際にそれを知らなくても、そうかそんなに熱いのか!そうかここから感動的なんだな!とイメージを膨らませつつ展開も追えて一緒に熱くなれるのが良かった。
 しかしながら、彼女のニコ生中継があの後どうなったかめちゃくちゃ気になる。(宣伝大使なのに…)




頓田林優作:浮谷泰史さん
 新人アイドル鮎川つむじのマネージャー・頓田林。いい仕事してたじゃ〜〜〜ん!!!
 情報量ギッチギチでフルスピードに展開してくストーリーを、テレビで見守る視聴者の如く"外野"に撤しつつも、的確に隙間を突いてくる彼のツッコミはもはや神業!気を抜くと置いてきぼりを喰らいそうになる観客の目線に寄り添いつつ半状況説明係としても引っ張り上げてくれた、愛すべき一般人!

 変則的な収録方法をとっているため「続き見せてええ!」とか「気になるー!」とか、次のシナリオに進むための合いの手はまさに観客の声の代弁であり、かゆいところに手が届く感じがマジでありがたかった。そもそもシナリオが、ボケの手法・三段落ちよろしく分岐の最後にドカンとオチを持ってくるため、それを拾いながらのツッコミ×リアクション芸がとにかく気持ちいい。「こ、ここにきてなぞなぞーーー?!」とか「えっ村長?!」とか、あんなにガヤついてる舞台突っ切ってスパーンと耳に飛び込んでくるお声!素晴らしい!
 登場したミイラに対してポチョミンが「おま…泣いてるのか?」と言った瞬間、「予想外にドラマチック!」とへばりついた時の手のマイムがすきー!舞台セットは実際は手摺りだけなんだけど、彼がそうしてるだけでブースとスタジオの間のガラス張りになってる壁がちゃんと見えるんだよね。勢いがあるけど設定見失わないでそういう小技を利かせてくるのも堪んなかった。

 ツッコミ以外で好きだったのは、友田の機転で収録が中断した後のシーンだったかな、スポットが舞台の上段に当たってる間、下段のスタジオ内は暗くなってる(けどみんなは収録を進めてる様子である)時間があったんだけど、そこでの頓田林さんがちょこまか動いて鮎川を心配しに来てたのかっわいかったw スタジオのドアに入ってるガラス窓から中を覗いたり、入ってきて鮎川と「はい!」と2人ががりで台本めくり係したり。そのあと座り込んでる鮎川に台本はこう持つんだよ的な実演指南をしてたの、自社のアイドルのポンコツ具合に当たりこそ強いけど見捨てず気にかけてて優しかったw 「何だよポチョミン島って!気になる〜」と台本ペラペラ先に読もうとしちゃうところは、マジで仕事忘れて子供みたいにはしゃいでたのが大変よかったです。あれだね、浮谷くんて一般人の物真似うまくない?中川家みたいな(何の話)

 彼のツッコミはこれまで何度も見てきたのですが今回は色が違って新鮮だな〜という印象を受けまして。ボケ中のボケである鮎川を相方に据えながらも、今回は「漫才・コントのツッコミ役」ではなく、物語には干渉しない「テレビの前で思わず声に出ちゃったタイプのツッコミ」を繰り出していたからかな。プロレス実況アナウンサーもかくやの奮闘ぶりは、本人曰く「ネクタイの色が変わる」レベルで大汗かいてたけど、彼がひたすら必死になってることで徐々にツッコミがボケに聞こえてくるのが不思議!
 「奴の何かに火がついたーーー!」 ってセリフがあったけど…いやお前もなーーー?!
 カーテンコールの物販紹介コーナーに呼ばれると途端にテレビショッピングの人に見えるから不思議。



友田茜:工藤夢心さん
 友田茜ちゃん、あんなに打たれ強い子見たことないんだが〜?!(そこ?)
最初にアニメ編で「もう〜バカバカ!」って自分の頭をぽかぽか叩き始めた時にはいやこいつウザッ!と瑞希ちゃんと同じこと思ったんだけど、オンライン編が進むにつれ応援したい気持ちが加速していきました。渦中にいて小さな異変や違和感に気がついてブレーキをかけてくれたのが彼女だけであったから、何とかしてくれるかもしれないという期待を込めた拠り所になったんだとも思う。まさしくキーパーソンだよね。冒頭で「私の役なんですけど!」「この子に会わないと先へ進めない!みたいな♪」というセリフがあったけど、それだったよ。

 彼女が「ノット!!!」を叫んだ時、真っ先に感じたのは愛でした。「ーーあ、えと、自分の出る役のページがわからなくなったので…」なんてヘラヘラしたら、どんな恥をかくか、御子柴さんからどれほど怒りを買うか、周りからどう思われるかもわかってるのに。彼女が大事にしたいのはそんなことじゃないんだよな。そうやって、自分がバカなフリして悪者になって収録の中断を申し出たあの場面、(そういう解決方法は前田(アニメ編の主人公:藤堂瞬さん)に影響受けたのかな…などと思ったりしてそのシーズン2っぽさに感動もしつつ、)御子柴さんのプライドを傷つけないで彼女が彼女の力で取れる最良がそれしかなかった事実に胸が痛みまくった。しんどくてこの時点でもう泣いてた。
 「そういう時代です!」という師匠への反発も、「御子柴さんの収録は、いつになりますか?!」の切実さも、あーあ、どうしてこんなに揺さぶられちゃうんだろうね。今思い出しただけで劇中の友田ちゃんと同じぐらい泣いてる。頑張って頑張って空回りして、一番認められたい人に「お前の顔はもう見たくない」とまで言われてんのに。それでも立ってる彼女は眩しかった。

 だからね、この場面。
「「ポチョ!あの光は…ま、まさか、ナガレ…?!」」
 御子柴さんの口から「ノット」が出た時は絶望にも似た気持ちになったものですけど、「何だよその芝居、全然だめ。もう一回!」と続けられたいつも通りの声に、一緒に言えたこのセリフに、”結実”を思いました。
日野「波形が…デシベルが一致…?」
祐天寺「同じだーー水のポチョミンと」
この、全部が覆せるかもしれないという兆しの見えたあの瞬間は、まさしく”光”だった。本当に素敵だった。

 工藤夢心さん、今回で初めて拝見しましたが、カーテンコールで今回の舞台で役者としての活動を終了します、とご挨拶なさってて。千秋楽で泣きじゃくりながらも「全く、悔いはありません!」と清々しいお顔だったものだから、ああ友田がいるなぁ、なんて、何も知らないのになんだか”らしい”なぁ、なんて思ってしまいました。お疲れ様でした。



御子柴瑠璃:宇田川美樹さん(6番シード)

 「あたしはこの声で20年声優やってきた」

 少年怪獣ポチョミンの声優・御子柴さん。この言葉に何もかも詰まってる。
 宇田川さんがいなくちゃ、宇田川さんの力がなくちゃ、この言葉を本物にする宇田川さんという”説得力”がなくちゃ、そもそも何も始められない舞台だった。そう思うほどの芝居を見せていただきました。

※オンライン編について。めちゃ長くなったのでセリフごとに場面を区切ってお話していきます。
「みんな、おいらと一緒に、旅をしようぜ!」
 このね、YouTube予告編収録の時に思ったんだけど、そもそもの話として、ポチョミンとしてのセリフで「ノット」を出されてた声から、「チェック」「クリア」が出た時の声を、毎公演同じところ(トーン、言い回し、音)に当ててる訳で、その精度の高さや安定感に毎回鳥肌ぞわぞわ立てながら感動してました…キャラクターチェックの時もそう、確かにOK出た時の声の出し方が一番耳馴染みが良くて、ポチョミンだなってしっくり来る声なんだけど…あの高さの声の中でさらに探るのを見せるのがまずすごい。

「いちいち頭に戻るなんて面倒くさい──分岐も一気にやらない?」
 ゲームシナリオ内の分岐の台詞をひたすら連発していくシーン、テンションの切り変えの速さには驚いたどころの話じゃなかった。「エリアBCなら全部頭に入れた」って豪語するだけあって寸分違わず欲しい音にピタッとはめてくる。後ろ側で台本捜索してた大等さん瑞希ちゃん、いつもはぼんやりしてるウツボさんまでもが、思わず手を止めて彼女のほうを見つめてしまっていたけれど、それだけで如何に彼女がすごいことやってのけてるのかもわかるよね。圧巻だった。個人的に「仲間を探しに行こうよ」のもっちゃり感が可愛くて好き。

「…そんな気持ちにね、ちょっと、なっちゃったんだよねぇ…」
 中盤、50音収録の途中で本心を語ってくれる御子柴さんの、この悔しそうだけどスッゲー嬉しそうで、まいったなぁって困ってもいそうなこの声が本当に好きだった。今の今までバチバチにやりあってきた祐天寺(兵藤祐香さん)に向けたある種の降参宣言でもあり、譲りたくないもの大事にしたいものがはっきりした瞬間だった。 「ぱ」の声を出した後の「ポチョ…」って床に落ちるようなつぶやきがマジで悲しかったから。その後の友田と起こせた奇跡には本当に立ち上がりたいぐらい嬉しかった。

「おいら、ちびすけなんかじゃないやい!ポチョミンっていうんだ!」
 棒読み感の残る機械出力の音声を聞いていたから、彼女がこの同じセリフを生の声で形にしてくれた時の感動ったらなかったよね。思わずおかえりって言いたくなるような、じんわりと胸に広がる安堵、、そこでエンディングテーマ流す演出が効いて涙はもはや滝と化していました。ナガレに何泣いてんだよって言われた時「おいらに帰る家なんかないんだぁ…」っていう涙声も可愛くて大好き。

「希望の・・・カンテラ?」
 ナガレとの出会いの場面の収録中に徐々に2人がシンクロして、彼女の視線がモーションアクターの持ち上げた手の先にあるだろう“カンテラ"を見つめてるの、彼の動きが目について集中できないでいた序盤からしっかりと泣かせるまでの布石が敷かれてたのはわかってんだけど、それでも尚、素晴らしいしか言えずに大泣き。2人のサムズアップ👍がこれまた嬉しいんだ…


田楽「ポチョミンの叫び声全種類です!」
御子柴「ここからはあたしがやる!下がってて」
 こんなにかっこいいことあるか?声優・御子柴の経験と技術と、ポチョミンの息遣いと、宇田川美樹の遊び心とが溶け合ってく様をスローで見てる気持ちになったよ。決まった瞬間にOPテーマが流れ出すの、アニメ最終回だ!!!になって大喜びしちゃった!叫び声のバリエーション日に日に長くなってく気がしてたけど、食らいついてふさわしいモーションとってた松藤くんも最高。千秋楽でとうとう拍手が起きたんだけど、その客席の一体感にあてられてさらに泣いちゃいました。展開アッチアチだったもんな!

 アフタートークイベントの時に、サーキュレーターで風を吹かす演出について彼女が「風のせいでコンタクトが取れそうになるの。もし取れちゃうと、この台本に書かれてるちっちゃな文字が読めなくなるから、あたし『ポチョ』しか言わないよ」って(怖いこと)お話しされてて。その時は、ああやっぱりあの台本てちゃんと見てんだなぁ、なんて安心したものですけれど。でも実際あのスピードで台本めくりされてて、文字のサイズだってたかが知れてるしそこからパッと見て今どこだなんて絶っ対に探せるもんじゃない。と、どう考えても宇田川さんが全て覚え切ってないと無理じゃん!という事実に、(ゲームに劣らず)この舞台鬼畜だぁ〜〜〜!と叫びたくなりました。


アニメ編、息継ぎもなしに日常会話 ⇔ キャラクターボイスのスイッチばちばち切り替えてくとこ、やーばかった。初日に受けた衝撃。人って驚きすぎると笑いたくなるんだって思いました。
 UDA★MAPの『紙風スクレイパー』と、先日の『新宿アタッカーズ』でも少し、ワイファイって名前の赤い鳥の声を宇田川さんが当ててらして、そのハイトーンでコミカルでもちゃもちゃした喋り方がかーわいいな〜!こんなお声も出せるんだ〜!なんて思ってたんですけど、まさかそれがそのまま「声優」のお仕事として役に昇華されていくとは。(今度ワイファイが登場したら「ああ御子柴さんがCVなんだな🤭」と思うだろうな)


脚本・演出:松本陽一さん

 一人一人の役者の戦力を信じた本を書く人だなと思いました。
今回は特に、そうあるべくしてそこに必要な人物、という配役な気がしてるので、自分の仕事を「1」ないしはそれ以上満たせないとあっという間にバランスが崩れちゃうだろうなっていう印象。そこに放り込まれた皆さんが鎬を削ってくからものすっごい演劇空間になるんでしょうね。
それにしても、こんなに説得力が物言わす舞台も初めて見るかもしれない。試練がデカすぎるとも言う…


脚本家に向かって身も蓋もないこと言うけど一個だけどうしても…
  説明はしようね?!?!
祐天寺「説明してる時間がないので…」って、いやいやいや!結局それで納得いかなくて時間かかってんじゃんか?!(登場人物にガチレスすな)
ワンシチュエーションコメディーは知らないことがあるから面白いし、そういう無理難題な予想外な試練が起きるからドラマが生まれるのもわかってて、それでもね、初日からもうずーっと喉につっかえてたツッコミをやっと言えました。笑

この適度なイライラがあるから楽しさ倍増してんのかな〜?やだな〜術中にはまってるみたいでやだな〜今後も楽しみにしてます〜!!!

コロナ対策

対策は万全に、且つスタイリッシュに。が実現してたの最高だったので書かせて欲しい。
・椅子。シアターKASSAIって座席間が狭いからどうすんだと思ってたら椅子一脚ごとの左右と背面にビニールカーテン設置。通称「コックピット」。
・舞台と最前列の間のクリア板。客席が暗くなるとそんなものがあるのを忘れるレベルの透明度。主宰曰く「結構した👌 使いたい団体さんいたらレンタルしますよ」。役者陣からすると後ろから照明あたってるから鏡に向かって芝居してる気持ちになるらしい。客席の笑い声と拍手はちゃんと届いてたって。
・役者のフェイスガード。ヘッドセットタイプなのでインカムっぽいというかアフレコ現場という舞台設定にもマッチしていた。アイドルのあの子は縁のところをキラキラにデコってたのも遊びがあってよかったね。
・観客のマスク着用。今はどこでも当たり前になってるよね。そうじゃなくて、コメディーって聞いてたのに泣かせてくるから替えのマスクが必要だったよって話。そろそろ「枕を濡らす」の派生で「マスクを濡らす」ってことわざができると思う。(何の話だ)


接触確認アプリCOCOAについて。
【↓このご案内方法が劇場全体に浸透してくれるのを願ってちゃんと書きます】
「電源を切ると作動しなくなるので、下記の手順を踏んでください」
機内モードにする(✈️のマークを押す)
②設定画面を開いてBluetoothだけをオンにする
Wi-Fiが切れていることを確認し、電波の関係ないアラームなどは鳴らない設定(サイレントモード)にする
「つい最近ガイドラインが変更になったんですけど、このアナウンスしてるのうちぐらいじゃないかな」と主宰は続けていました。新たな生活様式と共に映画館・劇場でのスマホのマナーも変化していくんだよなぁ、と観劇中はバイブ音さえ絶対許さないマンの自分にとってはげんなり…な事案なわけですが。
単に「マナーモードに!」じゃなくて、こうやってしっかり前説の時間を設けてくれるのは大変ありがたいなと思いましたマジで。


 6CとKASSAIの手際のいいスタッフさん方と、観劇慣れしてるお客さんとの連携も大きかったのかな、ほぼノーストレスで終えられたのも含めて、上質で健やかな観劇週間を送れました。そんな素晴らしい時間を作ってくださった全ての皆様と、ここまで長いこと読んでくださった皆様に、感謝申し上げます。


冒険者・タミオ 目撃者・自堕落